|
【司 会】
本日はお忙しい中、お時間をいただきまして誠にありがとうございます。
初めに、本日の鼎談にご出席いただきましたお三方をご紹介させていただきます。
角山榮先生は経済学博士で、西欧経済史、特に近代英国経済史がご専門ですが、堺の歴史にも大変お詳しいので、本日は堺の歴史を中心にお話をお伺いしたいと思います。
堺ご出身の北側一雄大臣には、地元の将来への思いと、現職の国土交通大臣・観光立国担当大臣として、身近な課題についてお話をいただきたいと思います。
そして島野会長には、一九二一年に堺市に本社を創業され、今年で八十五周年をお迎えになる株式会社シマノの代表取締役会長として、また業界団体の社団法人自転車協会理事長・大和川再生協議会会長として、堺市への思い等をお話しいただきたいと思います。
では最初に、現在の堺市に対する思いと、今後への期待などをそれぞれ皆様にお話しいただきたいと思います。角山先生からお願いいたします。
【角山 榮】
私は堺に住んで六十年になります。シマノさんは創立八十五周年、そして私も一九二一年生まれですので、私の人生はそのままシマノさんの歴史と重なります。
堺市は二〇〇六年、政令指定都市となりましたが、戦前から戦後の歴史を通じて見ても、今、大きな曲がり角に来ていると思います。堺は、一九五〇年代の終わり頃から、高度成長に伴う工業化の中で、歴史ある美しい海岸が沖の方まで埋め立てられ、そこにたくさんの企業が入ってきました。しかし、一九九〇年頃に経済成長は止まり、その後は「空白の十年」と言われているのはご承知の通りです。
工業化の時代は終わり、これからの新しい時代は、アジアの中の日本、アジアの中の堺、世界の中の堺というグローバルなスケールの中で生きていかなければならないという事態に直面しています。
【北側 一雄】
角山先生のおっしゃったことは、堺市はもちろん、多くの都市で言えることです。昨年から、日本は人口減少社会に突入し、他の国では類を見ない本格的な高齢社会になりました。これは決して暗いことではなく、長寿社会を迎えたということです。その中で、まちづくりに関する考え方も、非常に大きな転換期に来ています。政令指定都市になることは、それ自体が目標だったわけではありません。それを契機にどのようなまちづくりをしていくかが問われているのです。
堺は、世界に向けて魅力と特性を発信していく必要があります。堺には素晴らしい歴史と文化があります。それに根付いた様々な情報発信をしていくことがポイントだと考えています。
【島野 喜三】
私は堺に生を受けて七十一年になります。高度成長の非常に素晴らしい時期を生き抜いてきました。私も、角山先生と北側大臣がおっしゃったように、今は日本全体が転換期にあるような感じがします。その中で堺がどのような形で発展していくかということですが、一つには、堺の持つ豊かな文化遺産と観光資源を大切にし、そこに大勢の方においでいただくことで、いろんな意味での発展が可能になると思います。
堺は南北の交通機関は発達していますが、東西はまだ未整備の部分があるので、観光をする場合にも多少不便な点があると思います。そういうところを、例えば歩行者天国のような形で散策していただくとか、手前味噌になりますが、自転車で回っていただくというように、観光ルートとしてうまくつなげてはどうかと考えています。そして、ほかの町とは一味違う楽しみ方をしながら、堺の文化や歴史に自然と触れていただけるようにすればどうかと思います。
これからは、都市の繁栄と観光は切り離して考えることはできません。その中に、深い意味での工業都市、商業都市として生きていく道が生れてくると期待し、そういう方向で成長していって欲しいという強い願望を持っています。
|