最高法規のあるべき姿を考える

読売新聞「憲法記念日 4党座談会」2018年5月3日付12~13面
―北側一雄 党憲法調査会長の発言―

 与野党4党の憲法問題の責任者らが幅広いテーマについて活発な議論を展開した座談会が、5月3日付の読売新聞に掲載されました。北側一雄公明党憲法調査会長の発言は次の通り。

◎現状認識
――日本国憲法は1947年の施行以来、70年以上にわたり一度も改正されていない。衆参両院は2000年に憲法調査会、07年に憲法審査会を設置し、様々な議論を重ねてきたが、改正テーマの絞り込みは必ずしも進んでいるとは言えない。こうした現状をどう考えるか。

時代が変化、「加憲」でしっかり議論を

北側 今の憲法は、戦後民主主義の基盤を作り、発展させてきた、非常に優れた憲法だ。ただ、時代の変化の中で必要な規定は追加する「加憲」の立場で、しっかり議論したい。憲法改正の国民投票法が4年前に改正され、いつでも国民投票が出来る状況となった。憲法論議は憲法審査会で、政局から一歩離れて静かに積み重ねていくことが求められている。
 日本国憲法は(条文数が少ない点で)「密度」が低いのに対し、欧州の憲法は、特に統治規定の密度が非常に高い。だから欧州では憲法改正が多い。日本では細かなことまで憲法には書かれておらず、国会法や内閣法、裁判所法など法律で定める仕組みなので、憲法改正の必要性はあまりなかったといえる。 ただ、改正の必要がある点については政党間の合意を作り、国民に問わなければならない。

◎緊急事態条項
――自民党案の緊急事態条項には、大規模地震などの際における国会議員の暫定的な任期延長と、政府権限の強化が盛り込まれた。かつての自民党案には私権を制限する規定もあったが、今回は見送られた。
北側 議員任期の延長は議論に値する。緊急時こそ、議会制民主主義を機能させないといけない。ただ、延長の要件は、明確かつ限定的なものとする必要がある。そもそも緊急事態とは何であり、どういう手続きで認定するのかが明確でないといけない。また、緊急政令の制定権も盛り込まれたが、憲法には書かない方がいい。危機管理法制の中で、具体的に書き込むレベルの話ではないか。
 議員任期の問題は憲法審査会でも、議論の必要性についてかなり意見を共有していた。参院の緊急集会との関係の整理も一つの論点だろう。

◎9条改正
――9条の規定と自衛隊の存在は長年、憲法と現実の乖離(かいり)の象徴とも目されてきた。戦力不保持を定めた2項を維持したうえで、自衛隊の根拠規定を追加する自民党案をどう評価するか。
北側 自衛隊違憲論を払拭(ふっしょく)したいという自民党案の趣旨は理解できる。災害対応だけでなく、安全保障環境が非常に厳しくなる中で、自衛隊の役割、責任は非常に大きくなっている。憲法の平和主義は9条1項、2項に体現されており、堅持しなければならない。1項、2項の下での自衛の措置の限界は、3年前の安全保障関連法で明確にした。それを超える解釈の余地があってはならない。
 仮に国民投票で自民党案が否決されれば、政治的な影響は極めて大きい。読売新聞の世論調査では、自民党の9条改正案に賛成が55%、反対は42%と結構、均衡していて、リスクがある。いずれにしても、憲法審査会でしっかりと議論する中で国民の理解も深まる。山花氏(立憲民主党)の提起した(安倍首相は、この改正案が可決されても否決されても⦅自衛隊の任務や権限は⦆変わらないと言っているが、それなら改正の必要性は説得力を欠く、という)議論は、まさに憲法審査会でやったらいい。

◎参院選改革
――鳥取、島根の両県と徳島、高知の両県では、参院選選挙区の合区が行われた。自民党は、3年ごとの参院選で各都道府県から最低1人を選ぶ改正を提案している。一方、参院で1票の格差の拡大を認め、地域代表の性格を強めるなら、参院の権限も見直すべきだという議論がある。
北側 今の憲法は43条で、衆院議員も参院議員もともに全国民の代表と位置づけている。だからこそ参院にも相当強い権限が与えられ、1票の価値の平等が要請される。大ブロックで候補者を選挙するやり方に変えれば良い。自民党案のように各都道府県から少なくとも1人を選ぶと憲法に規定することが、参院の役割について議論せずにできるとは思えない。

◎教育無償化
――自民党案は「教育の充実」を掲げるとともに、憲法89条で違憲と解釈されかねない私学助成を合憲と読めるようにした。
北側 自民党案は、教育環境の整備に「努めなければならない」というもので、(具体的な権利までは保障しない)プログラム規定だ。必要性があるのだろうか、とも思うが、議論はしっかりしたい。

◎そのほか改正すべきテーマ
――自民党が提案した4項目以外で、優先して改正すべきテーマは何か。
北側 憲法制定時には意識されていなかった地球環境問題が、今は極めて深刻だ。憲法でどう規定すべきなのかという議論はあって良い。ただ「環境権」ではなく、地球環境問題についての国や企業、国民の「責務」などの観点で憲法に書き込むことは十分議論に値する。

◎国民投票法
――国民投票法の改正を求める意見も出ているが。

利便性の向上に異論ない

北側 難しい話ではない。ここ数年の間に公職選挙法が何度か改正された。例えば洋上投票の対象者が拡大し、期日前投票は柔軟にできるようになった。共通投票所も設置できるようにした。憲法改正の国民投票でも同様に利便性を確保することに、おそらく異論はないだろう。

◎今後の協議
――今後、憲法審査会や政党間協議で、どのように議論を進めるつもりか。
北側 憲法審査会の自由討論で議論を積み重ねると、面白いことに、一つの方向性が出てくる。合意形成には、審査会で自由にしっかりと議論を重ねることが不可欠と感じる。憲法改正には高いハードルがあり、国民の理解を得るのは容易でない。昨年視察した英国やイタリアでも、国民投票が、時の政権に対する事実上の信任投票になったと聞いた。
 憲法改正論議は、「与党か野党か」ではなく、政局から一歩離れて行う必要がある。自民党だけで簡単に改正できるわけがないし、他の党も自信を持って、議論に参加すれば良い。まず憲法審査会を動かすことが大事ではないか。

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