
小寺 法曹人口の問題ですが、平成19年度は2600名出てきます。平成22年には3000名になります。裁判所と検察庁は予算枠があって大幅な増員は見込めませんので、残りは全員弁護士となります。しかし、従来の弁護士業務だけなら本当にそこまで需要があるか、疑問に感じています。
そこで、私としては、弁護士の職域を広げる制度的な手当をするべきだと考えています。従来どおりの弁護士業務の一方で、コンプライアンスの観点から、例えば上場企業に、弁護士を監査役ないし社外取締役として入ってもらう制度ができないか。もちろん、弁護士も十分に勉強した上での話ですが。
また、公務員についても、現在、弁護士の任期付公務員の制度はありますが、これが十全に機能しているとは思えません。例えば、各省庁で弁護士を継続的に法務専門官として採用してもらうとか、自治体でもある一定の規模以上のところでは、顧問弁護士はいるでしょうが、内部で弁護士をとってもらうといったことはできないでしょうか。
私は、このように、法曹を企業・行政といった分野に取り入れていく仕組みを制度としていけないか、という発想を持っているのですが。
北側 先生は法曹人口増加の観点からおっしゃっていますが、そういう面もさることながら、これからの社会は自己を監視し、透明性を確保する、ということがますます重視されるようになっていくと思います。経済的な規制は緩和して、むしろルールをきちんと設けて透明性を確保するとともに、事後的なチェック機能を働かせる、という時代になると思います。ですから、法律の専門家である弁護士がさまざまな分野で能力を発揮できる時代になっていくのではないかと思います。行政でも全くそのとおりです。リーガルマインドを持っている方が内部にいることは、行政であれ、地方自治体であれ、企業であれ、ますます重要になってくると思います。自己責任が問われる中で、自分自身で社内のルール、あるいは行政の政策判断をチェックしていく必要が高まるでしょう。
私自身も大臣をさせてもらっていますが、法律の専門家であるということが役立っている場合が多いと思います、自分で言うのもなんですが。官僚は必ずしもそういった部分に長けているとはいえませんから。
小寺 例えば、大臣が秘書官にご自分の信頼できる弁護士をブレーンとして雇うというわけにはいかないんですかね。
北側 そういうこともあってもいいですよね。国会の方は政策秘書として弁護士もおられたように思います。でも、先生の仰るとおり、いろんな分野で弁護士が能力を発揮できる、発揮すべき分野は多いと思います。従来のような法廷活動だけでなく、さまざまな分野に入っていただいて、危機管理等々担っていただくというのは非常に大事だと思います。
小寺 こうしたことを実現するためには、もちろん我々弁護士も勉強する必要はありますけれども。
研修所は育てて出すだけで、その後のことはタッチできませんから、私としては増員後の不安を払拭できるよう制度的に手当しなければいけないと強く思っています。社会的に見れば有用な人材ですし、毎年出てくるわけですから。大いに活用していただきたいので、大臣にも是非力強いお力添えをお願いします。
北側 はい。
小寺 政治の世界にも弁護士から随分出ておられますね。
北側 ずいぶん多いですね。弁護士の他分野への進出の一つとして、政治家にもどんどん入ってもらいたいですね。
小寺 いきなり国会議員でなくても地方の議員で足元を固めて、というのもいいんじゃないかと思います。とにかく、弁護士もいろんな分野で活躍できるぞと。新しく入ってくる人達のために、法曹界を夢あるものにしたいと思うんです。今ある不安感と閉塞感を打破していかなければ、と強く思います。
北側 そうですね。先生のおっしゃったとおり、弁護士の業務を拡大しないといけませんね。制度はできあがってきたわけですから、人材をどう活用するかは検討しなければならないと思います。
私もそうですが、弁護士ということを基礎にしながら、さまざまな活動ができると思うんです。従来の弁護士とは全く違ったイメージでとらえていけるんじゃないですかね。私の立場からも、弁護士がもっと魅力ある職業になるよう、助力させていただきたいと思います。
小寺 ありがとうございます。本日は、お忙しい中、お時間を取っていただきありがとうございました。私の方からいろいろとお願いすることがあるかもしれませんが、そのときはよろしくお願い致します。
北側 私のほうこそ、先生から、もっとこう対応すべきだという率直なご意見をいただきたいと思っています。改めて、先生のご健闘をお祈り致します。

昭和15年生まれ 62歳/学習院大学政経学部を卒業後、スタンフォード大、ロンドン大の大学院に留学/昭和48年麻生セメント社長に就任/昭和54年衆議院議員に当選、以来当選7回/国務大臣経済企画庁長官等を歴任/祖父は日本政治の礎を築いた吉田茂元総理/クレー射撃の名手としてモントリオール五輪に出場した経験をもつ。
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昭和28年生まれ 52歳/創価大学法学部卒/弁護士・税理士/弁護士時代は、サラ金、地上げ、悪徳商法等の被害から生活者を守る案件に取り組む/平成2年衆議院議員初当選、以来連続当選5回/平成5年大蔵政務次官に就任/平成11年衆議院科学技術委員長に就任/平成16年9月国土交通大臣に就任。 |
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