
日本の高齢化に比例してがんが急増し、まさに“国民病”です。今、手術中心の日本のがん医療の中で、がん研究の前進や早期からの緩和ケアの導入、効果の高い放射線治療の普及が急務となっています。そこで、東京大学医学部附属病院放射線科助教授であり、同病院の緩和ケア診療部長でもある中川恵一氏と、がん医療の先進国をめざして「がん対策基本法」の制定をリードしてきた公明党の北側一雄幹事長に、日本のがん医療のあり方について語り合ってもらいました。
北側幹事長 先日行われた公明党の「がん医療推進シンポジウム」で基調講演を行っていただき、ありがとうございました。大勢の参加者から「放射線治療の話は非常にためになった」という大きな反響が寄せられております。
中川東京大学医学部助教授 ありがとうございます。放射線治療について、国民にどんどん知ってほしいと思います。
北側 私も中川先生が書かれた「自分を生ききる」という本を読んで、放射線治療は非常に体にやさしい、体に負担のない治療法だと知りました。
中川 その通りです。
北側 今から20年ほど前のことですが、ノンフィクション作家の柳田邦男さんが書いた「『死の医学』への序章」という本を読んだことがあります。この本の中で、がん宣告を受け、死と直面する患者が「この花を来年は見られないかもしれない」と自然の美しさや四季の移ろいに対して感性が豊かになるという趣旨の話があったことを覚えています。
中川 がんの患者は皆さん、そうおっしゃいます。私は、そういう気持ちを日本人全員が持たないといけないと思います。というのは、結局、がんでなくても人間は死ぬわけですから。
北側 そうですね。それと、中川先生は本の中で「死ぬならがんがいい」と言っていますね。
中川 私は間違いなくそう思います。がんでもう治らないと決まってから、およそで2年近くあります。その2年間は特別な2年間です。つまり、生きていること自体がありがたい、見るものすべてが新鮮。そういう時間を持てることはがんの良いところであると思います。
北側 脳梗塞や交通事故、心臓病のように突然、死が訪れる場合、本当につらい。
中川 あまりにも突然で、残された家族もどうしてよいか分からない。

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