
北側 今、教育現場でのいじめや虐待などの問題が大きく社会問題化していますが、その根っこのところには人の死や命に対する畏敬の念が薄らいでいることがあるのではないでしょうか。
中川 死に接することでは、在宅緩和ケアというところにつながります。がん対策基本法の中に、在宅での緩和ケアが盛り込まれたことは、非常に重要なことだと思います。
もう一つは都市というキーワード。都市という変化しない感覚が、今の日本人の心の中にできていると思います。物事が変わらない、永遠に続く。確かに東京の都心のビルを見ていると、人間が自然を制圧したような感覚を与えます。季節感もそうです。夏は冷房、冬は暖房。そうなってくると、変化が分からない。変化が分からないから、人間死ぬ気がなくなる。
北側 私は国土交通相を2年間務めさせていただいた中で、日本という国は四季の移ろいが鮮やかで水も豊か、本当に美しい国土だと感じました。ただ、その一方で、大雨が降ると洪水になったり、山が崩れたり、地震も多い。日本の国土というのは、美しい半面、裏側にはもろさをはらんでいるということを痛感しました。
おっしゃる通り、現代社会では、特に都会で生活していると、自然の美しさや変化、時には荒々しい力というものが見えにくくなっています。いずれにしても人生の尊い最終章をその人らしく生きるためにも緩和ケアというのは本当に重要なことで、緩和ケア対策がもっと進むように取り組んでいく必要があると思います。
中川 その中で、今回、がん対策基本法が公明党主導で成立したことは非常に意義深いことだと思っています。がん医療の現場に携わる者として、大変感謝しております。
北側 この法律の施行は来年(2007年)4月です。その後、6月に閣議決定するがん対策推進基本計画の中に意義のあるものをしっかり盛り込んでいくことが大事だと思います。それは、きょうの話の中で出た放射線治療や緩和ケアの推進、その他、がんを正確に知るためのがん登録にも公明党は力を入れていきたいと思います。

北がわ一雄プロフィール
昭和28年大阪府生まれ。創価大学法学部卒。弁護士・税理士。弁護士時代は、サラ金、地上げ、悪徳商法等の被害から生活者を守る案件に取り組む。平成2年衆議院議員初当選。大蔵政務次官、衆議院科学技術委員長、国土交通大臣を経て、現在公明党幹事長。
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中川恵一プロフィール
昭和35年東京都生まれ。1985年東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院放射線科助教授。2003年11月から同病院緩和ケア診療部長を併任。共・著書に「自分を生ききる」「がんの教科書」「命と向き合う」など。 |
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